第4回:J-PlatPatの登録方法とトップ画面の見方

目次

はじめに

第1回から第3回までは、特許調査の目的、特許・実用新案・意匠・商標の違い、特許の存続期間といった「制度の基礎」を扱ってきました。ここからは第2段階として、実際にご自身の手を動かす実践編に入ります。

その舞台になるのが、特許庁とINPIT(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)が提供するJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)です。日本の特許・実用新案・意匠・商標の情報を、誰でも無料で検索できる公的なデータベースです。

ところが、いざ使おうとすると「まず登録が必要なのでは?」「画面に項目が多すぎて、どこを押せばいいのか分からない」というところで止まってしまう方がとても多いのが実情です。今回はその最初の壁を取り払うことを目的に、登録の要否とトップ画面の構造を整理します。

J-PlatPatに「ユーザー登録」は必要か

図1 J-PlatPatに「ユーザー登録」は必要?──登録・ログインは不要、利用料も無料

結論:登録もログインも不要です

「J-PlatPat 登録方法」で検索される方が多いのですが、結論から申し上げると、J-PlatPatに「ユーザー登録」という手続きは存在しません。会員登録もメールアドレスの入力もなく、IDやパスワードの発行もありません。そもそもログイン画面自体がありません。

ブラウザで公式サイトを開けば、その瞬間から検索が使えます。「登録方法を調べていたのに登録が要らなかった」というのが、この記事の一番の答えです。

利用料金も無料です

何件検索しても、公報を何本ダウンロードしても、費用は一切かかりません。専用ソフトのインストールも不要で、スマートフォンやタブレットからでも利用できます。

特許調査を専門とする企業が使っている有料の商用データベースとは別物で、J-PlatPatは、特許庁が公開している情報を誰でも見られるようにするための公共サービスという位置づけです。

「登録が必要」と言われるのは、この2つと混同している場合です

  • INPITの講習会テキストなど、一部の配布資料の入手:こちらは別途登録が必要な場合があります。ただし、検索そのものには一切関係ありません。
  • 特許庁への出願手続(電子出願):こちらは識別番号の取得や電子証明書の登録が必要です。J-PlatPatは「調べる」ためのサイト、電子出願は「出す」ための手続きで、まったく別のものです。

つまり、調べるだけであれば何の事前準備もいりません。

アクセス方法とブックマークの注意点

公式サイトのURLは https://www.j-platpat.inpit.go.jp/ です。

検索エンジンで「J-PlatPat」と検索してもすぐに見つかりますが、名前や見た目のよく似た民間サービスも存在します。ドメインが inpit.go.jp であることを確認したうえでブックマークしておくと安心です。

トップ画面の見方|5つのブロックに分けて覚える

初めて開くと情報量に圧倒されますが、トップ画面は次の5つのブロックに分解して見れば迷いません。

図2 J-PlatPatトップ画面の全体マップ(5つのブロック)

■ ① ヘッダー(画面最上部)

English切替、サイトマップ、お問い合わせ、ヘルプ一覧が並びます。操作に困ったときは「ヘルプ一覧」が最短ルートです。

■ ② 法域別メニュー(青いバー)── ここが最重要

「特許・実用新案」「意匠」「商標」「審判」の4つが並ぶ青い帯です。本格的な調査は、すべてここから始まります。マウスを乗せる(またはクリックする)と、それぞれのメニューが開きます。

■ ③ 重要なお知らせ(赤い帯)

メンテナンスによるサービス停止の予告が表示されます。「昨日は使えたのに今日は検索できない」というときは、まずここを確認してください。

■ ④ 簡易検索

画面中央にある検索窓です。キーワードや番号を1つ入れて「検索」を押すだけで結果が出ます。ただし、ここでの検索対象は限定的であるという点には注意が必要です(後述します)。

■ ⑤ 目的別ナビ/お知らせ

その下には、マニュアルのダウンロード、5〜10分程度の操作説明動画、無料のオンライン講習会などの入口が並んでいます。独学で身につけたい方にとっては、実はこのエリアが一番の情報源です。

青いバーの中身|4つの法域で何が調べられるか

②の青いバーにマウスを乗せると、それぞれ次のメニューが開きます。

図3 青いバー「法域別メニュー」の中身

法域青いバーから開くメニューこんな時に使う
特許・実用新案特許・実用新案番号照会/OPD、特許・実用新案検索、特許・実用新案分類照会(PMGS)発明・考案を調べたい
意匠意匠番号照会、意匠検索、意匠分類照会、画像意匠検索(外部サイト)製品の見た目(デザイン)を調べたい
商標商標番号照会、商標検索、日本国周知・著名商標検索、不登録標章検索、図形等分類表、商品・役務名検索商品名・サービス名・ロゴを調べたい
審判審決検索拒絶査定不服審判・無効審判などの結論を調べたい

特許調査で最初に使うのは、ほとんどの場合「特許・実用新案検索」です。第5回以降は、この画面を中心に解説していきます。

なお「番号照会」は、文献番号や出願番号がすでに分かっているときに使うメニューです。取引先から「うちはこの特許を持っている」と番号を伝えられたような場合は、キーワード検索ではなく番号照会を使えば一発で辿り着けます。

「簡易検索」と「法域別検索」、どちらを使うべきか

図4 「簡易検索」と「法域別検索」の使い分け

初心者の方がつまずきやすいのがここです。トップ画面の目立つ位置にある簡易検索はたしかに便利ですが、J-PlatPat自身が「ここでの検索対象は限定的であるため、漏れのない詳細な検索がしたい場合は、画面上部の青色の法域別検索サービスをご利用ください」という注意書きを出しています。

使い分けの目安はシンプルです。

  • 簡易検索でよい場面:とりあえず似たものがあるか眺めてみたいとき、番号が分かっている文献を開きたいとき。
  • 法域別検索を使うべき場面:出願前の先行技術調査、侵害予防調査など、事業上の判断の根拠にする調査。
第1回でお伝えした3つの調査目的(出願前調査・侵害予防調査・技術動向調査)は、いずれも「漏れがないこと」が前提になります。 簡易検索で0件だったからといって、「先行技術は存在しない」とは言えません。ここは誤解の多いところなので、強調しておきます。

まずは試してみる|はじめての検索3ステップ

理屈より手を動かした方が早いので、まずは簡易検索で一度試してみてください。

図5 はじめての検索は、この3ステップ

STEP1 トップ画面の簡易検索窓に、調べたい技術の言葉を入力して「検索」を押します。まずは1語で構いません。

STEP2 検索結果の一覧が表示されます。文献番号・出願人・発明の名称が並びますので、件数が多すぎる/少なすぎる場合は言葉を変えて調整します。

STEP3 気になる文献をクリックすると詳細画面が開きます。書誌事項、要約、請求の範囲、図面が確認でき、「経過情報」からその権利が今も生きているかどうかも分かります。

この3ステップの感覚がつかめれば、あとは精度を上げていくだけです。キーワードの組み立て方(AND/OR)は第5回、分類による検索は第6回、経過情報の読み方は第7回で扱います。

使い始める前に知っておきたい3つの注意点

図6 使い始める前に知っておきたい3つのこと

■ 1. 直近の出願は「まだ載っていない」

特許出願は、原則として出願から1年6か月が経過するまで公開されません。つまり、今日J-PlatPatを検索して0件だったとしても、現在審査中の出願が水面下に存在している可能性があります。これはJ-PlatPatの不備ではなく制度上の仕組みであり、専門家が調査をしても解消できない限界です。

■ 2. メンテナンスで止まることがある

土日祝を中心に、システムメンテナンスでサービスが停止することがあります。予定はトップ画面の赤い「重要なお知らせ」で事前告知されますので、期限が迫っている調査を週末にまとめて片付けようとすると危険です。

■ 3. 推奨環境で使う

Chrome、Edge、Firefox、Safariの最新版が前提です。古いブラウザだと画面が正しく表示されなかったり、公報のPDFが開けなかったりすることがあります。

まとめ

  • J-PlatPatにユーザー登録・ログインは不要。利用料も無料で、ブラウザさえあればすぐ使える。
  • トップ画面は「①ヘッダー/②青いバー/③赤いお知らせ/④簡易検索/⑤目的別ナビ」の5ブロックで理解する。
  • 本格的な調査の入口は青いバー(法域別検索)。簡易検索は手軽だが検索対象が限定的。
  • 直近1年6か月の出願は公開されていない、という制度上の限界は常に意識しておく。

次回・第5回では、いよいよ「特許・実用新案検索」の画面に入り、キーワード検索の基本操作とAND/ORの使い方を解説します。

自分で調べてみたけれど、これで漏れがないか不安が残る──という方へ 出願前の先行技術調査は、キーワードの選び方ひとつで結果が大きく変わります。当事務所では、AIによる網羅的な検索と弁理士による確認を組み合わせた先行技術調査を、定額でお引き受けしています。まずはお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2026年9月時点のJ-PlatPatの画面構成に基づいています。J-PlatPatは機能改善が随時行われるため、実際の画面と異なる場合があります。

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