はじめに
特許は永遠の権利ではなく、一定の期間で効力を失います。では、その期間はどのくらいなのか。そして、期間を満了した特許はどうなるのか。このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
この知識は、特許調査を正確に行うためにも、そして弊所が提供する「フリー特許」事業を理解するためにも重要です。第2回で制度の基礎知識をお伝えしましたが、今回は特許の有効期間に焦点を当てて、具体的に解説していきます。
特許権の存続期間はいつまで?
| 権利の種類 | 存続期間 |
| 特許権(発明) | 出願日から原則20年* |
| 実用新案権 | 出願日から10年 |
| 意匠権 | 登録日から25年 |
| 商標権 | 登録日から10年(更新により半永久的に持続可能) |
(*医薬品等の発明の場合は、所定の要件を満たすと、最大25年までとなります。)
今回は発明の特許権に焦点を当てます。特許権は出願日から20年で満了します。これは、世界的に見ても標準的な期間です。
「出願日から20年」は登録日からではないという点が重要
特許が成立(登録)するまでには、平均的には1~3年の審査期間がかかります。つまり、出願してから実際に登録されるまでに時間がかかるということです。
重要な点は、特許権の期間は「登録日」ではなく「出願日」から数えられることです。
具体例で理解する
例えば、2005年1月15日に特許出願をした場合:
• 出願日:2005年1月15日
• 審査を経て2007年6月20日に登録された場合でも
• 特許権の満了日:2025年1月15日(出願日から20年)
この例では、登録から約18年で特許権が失効することになります。
特許の存続期間が切れると何が起こるか
特許権の有効期間を満了した発明は、以下のような状況になります:
1. パブリックドメイン化=「フリー特許」に
びます。つまり、それまで特許権者のみが独占できていた技術が、完全に自由な技術になるということです。
このような利用可能な特許を「フリー特許」と呼びます。弊所が提供するサービスは、このフリー特許の中から、皆様の事業に有用な技術情報を抽出し、新製品開発やビジネス展開の参考資料として提供するものです。
このような利用可能な特許を「フリー特許」と呼びます。
なお、弊所は、「フリー特許センター」として、これらのフリー特許の中から、皆様の事業に有用な技術情報を抽出し、新製品開発やビジネス展開の参考資料として提供しています。詳しくは、こちらのサイトへ。
2. 優れた技術を低コストで事業化できるチャンス
フリー特許となった技術は、ライセンス費用を支払わずに製品化できます。これにより、以下のようなメリットが生まれます:
• 既に実績のある技術を低コストで導入できる
• 新規事業立ち上げの際の開発コストを大幅削減できる
• 市場で既に検証済みの技術だため、失敗のリスクが低い
つまり、フリー特許は「開発リスクは低いが、コストも低い」という稀有な資産なのです。
有名なものが、ジェネリック医薬品です。フリー特許を使用した医薬品です。
3. 技術情報としての価値は残る
特許権が失効しても、その特許情報は公的なデータベース(J-PlatPatなど)に記録されたままです。むしろ、特許権が失効した情報だからこそ、次のような活用ができます:
• 技術トレンドの把握(どのような技術が開発されてきたか)
• 競合他社の過去の研究テーマの分析
• 類似の発明を行う際の参考資料
実際に有効期限が切れた特許を調べる方法
J-PlatPatでは、特許の現在の状態(「生きている」特許か「切れている」特許か)を確認することができます。基本的な確認方法は以下の通りです:
• J-PlatPatで特許を検索
• 該当の特許の詳細ページを開く
• 「経過情報」セクションで「特許権の消滅」または「期間満了」の記載を確認
「経過情報」には特許権がいつ失効したか、またはいつ失効予定かが記載されています。これについては、第7回の「検索結果の読み方|経過情報・審査状況の確認方法」で詳しく解説予定です。
まとめ
特許権の存続期間と、その終了後の扱いについてまとめます:
• 特許権は出願日から20年で失効する(登録日からではない)
• 失効後は「フリー特許」となり、誰もが自由に利用できる
• フリー特許は新事業立ち上げの際の優れた情報源になる
• 失効した特許でも、技術情報としてのJ-PlatPatでの記録は残る
フリー特許の活用方法や、それを見つけ出すための具体的な検索方法については、今後のシリーズで詳しく解説していきます。また、「自分で調べるべきか、専門家に依頼すべきか」という判断基準についても、第11回で改めてお伝えします。
次回は、特許調査の実践段階に入り、無料で使えるJ-PlatPatの登録方法と基本的な使い方をご紹介します。
